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危機が去ったとは言うものの、野営では気を抜く事は出来ないですよ、とのトレムさんの言葉に、皆は急いで食事の用意をしていく。
僕は彼等への助言をトレムさんに任せ、木に凭れて周囲を警戒する。
この辺りの魔物は、基本的には僕のフェイクのレベルで倒せるものばかりだが、イレギュラーが現れたら諸々不味いからな。
早めに見付けてこっそり倒しに行くのがベストだ。
が、現状はサンドウルフの亡骸の側に、サンドウルフより弱い肉食の魔物が集まって来てる程度だ。
ならば、と木に登り、太い枝に幹を背に座る。
これなら結構、寝易いかな?
寝床ゲット、と思っていると、下から声を掛けられた。
「カノンも一緒に食べようぜ?」
クランが僕を呼びに来たらしい。
「僕はもう食べたから、気にしなくて良いよ」
そう返すと、クランは、うーん、と悩み始めた。
「カノンと話をしたいんだけど、来てくれないか?」
躊躇いがちにそう言うから、なら話だけ、と木から飛び降りる。
「うわっ」
突然落ちてきた僕に驚くクラン。
が、ちゃんと着地したのを見ると、笑った。
「身軽だなぁ、でも危ないぞ」
心配してくれるクランの言葉に、平気だけど有り難う、と返す。
単純に心配して貰えるのは嬉しいからね。
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