依頼授業は大変だ

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「え、その訓練って、他のギルドではやらないんですか?」 レベッカの問いに、トレムさんは、聞いた事がありませんね、と答える。 「あー、そうか。訓練内容はマスターによるから、何処でも同じとは限らないんだっけ」 他のギルドの訓練内容までは知らないからな、と思いながら言葉を続ける。 「うちは孤児が居るから、ギルド員でなくても、まずは魔物から逃げる為の体力作りと逃げ切るコツを教わる……らしい?」 「おや?疑問系ですか?」 最後に、あれ?と思ってはっきりしない言い方になったら、トレムさんに言われる。 「や、そう言えば話に聞くだけで、その訓練を見た事はなかったなー、と。僕はギルドに行く前にもう、親に体術を習ったら魔物の群れの中に放り込まれて覚えたし、ギルドでは訓練が終わった子達の世話はしても訓練には加わってないから」 そう説明すると、そうなんですか、と感心するトレムさんだが。 「え、カノンって5歳からギルドに居るって聞いたけど、そんな歳で魔物の群れに!?」 デルが驚いて溢した言葉に、トレムさんも目を見開いて僕を凝視する。 「まぁ、弱い魔物だけどね。死なない様に死にそうな訓練を受けてたねー。お陰でさっきみたいな群れの対応も出来る訳だ」 僕の言葉を聞いたトレムさんは、トミーの事を考えたのか、黙ってしまった。
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