2469人が本棚に入れています
本棚に追加
「……コウ坊は?」
やっと絞り出す様に問う店主に、光哉の事?と聞くと頷くので、元気に僕達の学園の教員をやってるよ、と答えると、少しはホッとした顔をする。
「王女様と結婚して、幸せだよ」
そう追加すると絶句したが。
光哉が地球に戻されるまでは、日本食が恋しくなると光哉と来ていたらしい父さま。
それからは1人では来難かったのか、極たまにしか姿を現さなかったらしい。
成る程、それで1回しか来ていないのに僕を覚えていたのか、と妙に納得しながら、店主と名前を教え合って食事を進める。
「んー、美味しい♪源さん、天婦羅の衣、軽くてサックサクで最高!蕎麦も香りが良いね!」
「お、嬉しいねぇ!しかしやっぱり親子だなぁ。カノンはハル坊と同じ事を言う」
店主の源さんが涙ぐみながら言うと、ゆっくり食べな、と厨房に戻って行った。
気付けば、皆が静かだ。
静かに黙々と食べている。
別に暗くならなくて良いのにー。
そう言うと、困った顔をしていた。
まぁ、こんな状況じゃ困るか。
暫くして、食べ終えた僕達は料金を支払い店を出る。
その時に、今度は光哉も連れてくるよ、と源さんと約束して。
「さ、後は月見が原に行って対象の魔物を探さないとだねー」
僕の言葉に、ハッとして気を引き締めた皆は、月見が原方面の門に向かって歩き始めた。
最初のコメントを投稿しよう!