依頼授業は大変だ

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「そっ、そんな事……」 「図星かよ」 どもるベックに、デルは呆れた様に言い、どうすれば良いかと僕を見る。 「確かに夜は危険だけど、皆も疲れてるし、その疲れようじゃ見張りはキツいよね。走り続けてたら街までは持ちそうだけど」 そう言うと、トレムさんが眉根を寄せる。 「夜行性の魔物は、より狂暴ですよ?」 「彼等のランクで倒せない魔物が多いからね。それは勿論、僕が倒すよ。見張りで眠ってしまって、倒せる筈の魔物に殺られる方が怖い」 それは僕が手を出せないから、と言うと、そうですね、とトレムさんも納得する。 つまり、わざと強い魔物が出る夜に移動するなら、遭遇する魔物は殆ど僕が倒すから、その方が安全だと。 それに対して、ベックが不満気な声を上げるが、じゃあベックが一晩中見張りだね、と僕が言うと、口をパクパクさせて怒った。 「何で俺が一晩中なんだよ!」 「皆はこのまま帰る事に異論は無いのに、ベック1人の我が儘で野営する事になるんだから、当然だよね?」 ロッソが僕の言いたい事を横取りして言えば、デルも続ける。 「それとも、1人で残るか?」 とうとうデルがキレた様で、言ったら険悪になるしかない言葉を発してしまった。
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