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先程までよりペースを落としたから、今度はトレムさんもちゃんとついて来ている。
そして少し走った所で突然、視界が開けた。
目的地の岩山だ。
このまま行くぞー。
ライルが後ろを向いて、口パクで言うから、皆で頷く。
此処からはなるべく音を立てずに移動する事になる。
隠れる樹木が無いから見通しが良すぎて、姿勢を低くしなくてはいけない。
そんな状態で、物音に反応したターゲット以外の魔物に集まって来られても面倒だ。
なので、此処からはなるべく気配を消して(3年生の優秀な生徒が出来るレベルで)、足音も気配と同様に立てずに、慎重に進んでいく。
加減が面倒なのは僕だけではない様で、皆の顔がげんなりしているが、それがトレムさんから見ると、頑張っている様に見えたらしい。
あとからディネルに聞いた話では、応援する様な顔で見守ってくれていたとか。
良い人だよねー。
どうせディネルはニヤニヤしてたんだろうね。
努力(実力を抑える)の甲斐があって(?)、魔物に遭遇する事は無く、山頂付近に差し掛かる。
すると、チョロチョロと飛び回る影が見えた。
ターゲットのムーンバットだ。
僕達は顔を見合わせて、二手に分かれた。
風属性を持っているクリスと全属性の正臣と聖雅が、風魔法で強めの風を送り、ムーンバットを風下に追い込む。
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