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「諸君、急な呼び出し、済まない」
長が声を発すると、ザワザワしていた広場が、しーんと静まり返った。
が。
「行方不明となっていた我が娘が、婿となる者を連れ帰った」
次の発言でジュナを見てどよめく。
「我が見込んだ御方を紹介する。ジュナ様じゃ」
続いた長の娘の言葉に、再び静かになる広場。
彼女が様付けするほどの相手か見定めようと、皆の視線がジュナに集中する。
が、そのジュナは臆する事無く前に一歩進み出ると、広場に集まった皆を見渡した。
その威厳のある姿に、舞台の前の方に集まっている長老達以外の目が惹き付けられたのがわかった。
「はじめまして。私はジュナと言う。見ての通り、私はハーフなのだが、縁あって彼女と結婚の約束をした。よろしく頼む」
その自己紹介でハーフだとハッキリ口に出したにも拘わらず、彼等からは大歓声が上がった。
つまり、長と長老以外の皆から賛同を得た。
これは喜ばしい事だ。
思わず微笑めば、長老の一人が声を張り上げる。
「黙れ!儂は認めんぞ!」
それを皮切りに、長老達から反対の意見が叫ばれる。
「長となる者の伴侶がハーフなどと相応しくない!」
「何処の者かもわからぬ輩に村を乗っ取られて堪るか!」
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