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そんな彼女は、離れた所から母親に呼ばれて、名残惜しそうに仕事をしに去って行った。
「で、不備はあったか?」
彼女が完全に離れてから、ライルが隣に座り、小声で聞いてくる。
「大丈夫だよ。ライルの方は?」
僕も小声で返す。
確かライルはライルで、闘技場内の控え室の結界を調べていた筈だ。
極稀に対戦相手に場外戦を仕掛ける馬鹿が現れるから、その対策で控え室にも結界が張られているのだ。
「問題無しだ」
そう言うライルは、何故か浮かない顔をしている。
それは僕もで。
「「でも何か嫌な予感がする」」
思わず呟いた言葉は、ライルとハモった。
お互いに、やっぱり?と目配せ。
「面倒事は嫌だなぁ」
再び空を見上げて、何も無い事を切実に願う。
やがてクリスとアランとハンナとラフィと剣と蓮華と聖雅と正臣がやってくる。
おはよう、と挨拶をし合うと、蓮華は闘技場を見上げて、此処で試合をするのかぁ、とワクワクしている顔で呟いた。
格闘家としての血が騒ぐんだろうか。
ま、楽しそうなのは良い事だけどね。
「あーあ、やっぱりカノンと違うチームは嫌だな」
今更ながら聖雅が言うので。
「僕はあまり手を出せないから、当たったら聖雅が僕を倒してね」
そうお願いしておく。
聖雅には頑張って貰いたいし。
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