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第一試合が始まってしまった。
歓声を聞きながら、観戦の邪魔にならない様に後ろの通路を通る。
シヴァルも、席から離れて、直ぐ後ろの通路で待っていた。
既に2年生の3番隊隊長副隊長の双子、アルガスとアイトスが来ていて。
僕達が来たのを見て、シヴァルが結界を張る。
そして凄く残念そうな様子で、俺は帰らなきゃいけなくなった、と告げた。
あ、嫌な予感。
「今、ファラから街に魔物が出現したと情報が入った。他のギルドも、マスターは戻らなきゃならん。もし此処にも異変があれば、此処は頼む。他のギルドの奴には観客と生徒の避難誘導を頼んである。お前らは番号隊員だと説明してあるから、襲撃相手の殲滅を頼む」
そう言って僕達を見るから、はい、と頷く。
あー、来たか。
地球組から、小説ではこう言う大会で襲撃を受けるのはテンプレなんだと聞いていたシヴァルは、冷静にしている。
総司令官のシヴァルが落ち着いているから、他のギルドの人達も落ち着いていて、パニックになっていないから、会場の皆には気付かれていない。
それを見ると、やっぱりシヴァルは影響力のある総司令官なんだな、と感心する。
「もし、普通の番号隊員としての対応が難しくなったら、カノン、頼むな」
小声で済まなそうに言うシヴァルに笑って、了解、と返す。
隠し通して、隠す意味のある場所を失ったら元も子も無い。
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