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真穂と二人きりになった正門で沈黙が流れる。
その沈黙を破るように真穂は口を開いた。
「一緒に帰りませんか?」
思ってもみなかった言葉に思わず目を見開いてしまう。
女子から何かの誘いなんて来た事ない優はまた鼓動がドキッと跳ね上がる。
先程から俺は様子がおかしい、この子に話しかけられる度に胸が締め付けられるようになる。
まさかこれは…恋!?
一瞬脳裏に思い浮かべたが自分の中で無い無いと思い、ドキッとした事は忘れる事にした。
どうやら優はシャイらしい。
「じゃあ帰ろっか」
「はい!」
喜びの笑み浮かべる真穂は優の腕を掴むとステップ良く足を進める。
優は顔が林檎のように赤くなると同時に最近の子はこんなものなのかと年配のような考えに浸っていた。
「どうなさいましたか拓也様」
楽しそうに歩く二人の反対側約10m、高級な雰囲気が漂う黒いベンツの前に黒いサングラスに黒いスーツを来た40代の男が制服姿の山添拓也に呼びかける。
「お忘れ物はもう良いのですーー「うるさい!!黙れ!!」
「…申し訳ごさいません…拓也様」
拓也はスーツ姿の男が喋っている最中に声を荒げる。荒れている拓也を見てスーツ姿の男は申し訳なさそうに頭を下げた。
「あいつ…絶対殺す…!」
ドスの効いた声で呟く拓也の目には楽しそうに歩く優と真穂をしっかりと捉えていた。
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