後編

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風呂から上がった俺は、上条さんに電話をした。 不器用でわがままなオレを今まで育ててくれたお礼と、今日をもって風俗の世界から足を洗う旨を伝えて電話を切った。 明日は引越し、荷物と先への不安を持っての門出となるわけだが、そこにはちゃんと希望もあるわけなのだ。 きっと逮捕状が出るのも時間の問題だろう。 住民票すら移せない、婚姻届けすら出せない、不自由な未来も待っているだろう。 しかし、悪い事だけがあるわけではないと思える気がする。 風俗の世界で俺は何を学び、何を犠牲にし、何を得たのだろうか? そして、いつそれを自覚できるのだろうか?
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