前編

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店に戻った俺はマネージャーを店長室に呼び、事の顛末と末付けでの退社を伝えた。 俺を裏から支えてくれたマネージャーに話を通す事は最低限の礼儀だと思ったし、俺が退社後の人事は組織の慣例を考えれば彼が当面は店長代行業務を引き継ぐ事になるだろうからだ。 正式な辞令は後になるであろうが、事前の準備はあってしかるべきだ。 業務能力は俺以上なのに、世渡りが下手で俺の下にいた彼に俺からできる最後の恩返しとして彼を後任に推薦するつもりでいた。 昼過ぎに横浜本店の本部長から電話がなった。 てっきり引き留める電話かと思っていると、辞意の理由を知りたいとの趣旨だった。 どうせ辞めるのだから言うべき事はすべて言ってしまおう。
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