2046年

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2046年6月15日、この日世界が驚愕に包まれた。 それは今まで無名だった日本のとある会社が一夜にしてその名を世界に知らしめたからだ。 その会社の名はΔコーポレーション(でるたこーぽれーしょん)。 有名になった理由、それは世界初の完全六感転送システム【NTIF】を開発したためだ。 【NTIF】、正式な名称はNot Think I Feel(考えるのではなく感じろ)。 現在のディスプレイ式ではなく脳内電流を特殊な装置で計測、リンクさせることで意識を電脳の世界へと送ることができるのだ。 つまり遂に人間は次元の壁を越えたのだ。 もちろん世界各国の様々な組織、個人が革命的なそれを欲した。 噂によればΔコーポレーションを国家予算並みの金で買収しようとした某国もあったらしい。 だがΔコーポレーション代表である三人のトップ達は何と…… それをゲーム機にした。 馬鹿と天才は紙一重。 のちに明らかになったことだがその三人のトップ達は誰も彼も奇人変人のキチガイ達であったのだ。 曰く、とある一人はアイデアを頭の方に送るためなどと言って毎日逆立ちして暮らす。 曰く、ある一人は自分は世界の闇に潜む謎の機関に狙われていると公言する。 曰く、またある一人は人の言葉を話さず自分で作った謎の言語で話す、など。 そんな彼らだからこそだろうか、金などには目もくれずにただひたすらに開発を進め続け、遂にゲームハードNew World Ticket通称【NWT】を完成させたのだ。 それらを莫大な借金を負ってまで大量生産し遂に2047年7月25日、日本七カ所で同時発売となった。 その場所は札幌、仙台、さいたま(県ではなく市の方)、名古屋、大阪、博多、那覇。 予算と借金のためかこの七カ所だけでの発売だったため、世界各地から大量の人々がこの七カ所に集結した。 そして発売日、遂には怪我人まで出しながらも発売された【NWT】は発売一時間で七カ所全て売り切れになったという。 勿論Δコーポレーションは大黒字、前払いで追加発注を依頼する【国】まで現れたという話だ。 昔ながらのソフト狩りならぬハード狩りまでもが発生し、一時的にゲーム店周辺が世紀末になった事件もあった。 そんな新世界へのチケットどころか人によっては地獄への片道切符になった【NWT】、それにはあるソフトが同梱されていた。 そのソフトの名前は、 アルマドラ・デル・モンド
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