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ごほごほと噎せる俺の背を、誰かが優しく撫でてくれた。声の近さからして、恐らく『オトーサマ』だ。
「すまない、無茶をさせてしまったね。四日も寝ていたんだ。話せるわけがない。……カルマ、水を」
ややあって、『オトーサマ』とは違う誰かが、自然な動作で水を飲ませてくれる。咳の合間を狙った、完璧なタイミングで。
噎せている内に喉の乾きを嫌というほど自覚してしまった俺は、餓死寸前の獣のように水を飲んだ。
それで、少し落ち着いた。
一息ついて、『オトーサマ』の言葉に度肝を抜かれる。四日も寝ていた、とはどういうことだ。
「よ、四日……!?」
「ああ。僕たちの用意した召喚陣に欠陥があったらしく、召喚された君に多大な負荷をかけてしまったみたいでね。……そのおかげで君に会えたのだから、そう悲観したものでもないのだろうが」
……俺の推測が正しければ、『オトーサマ』は懇切丁寧に説明してくれた筈だ。だが不思議なことに、その内の半分も俺は理解できなかった。
召喚陣? 召喚された? ようやく会えた? だめだ。わけが解らない。
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