第一幕

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 随分と明瞭かつ長い夢だと思う。  いやに鮮明だし、登場人物の声もフルボイスだ。視界が暗転していなければ、欠点すら見当たらない最高の夢であったに違いない。  俺の感覚で、既に三日近く経過した。  その間、ずっとベッドに寝たきりである。登場人物いわく、まだ寝ていないといけないらしい。俺はそこまで病弱ではなかった筈だが、この夢では違うみたいだ。  たまに、これは夢ではないのではないか? という不気味な発想が過ることもあった。  だが、夢でなければ説明がつかない。こんな奇怪な状況が夢でなくて、一体何が夢だというのか。夢がゲシュタルト崩壊しそうだぞ。  俺は失明なんてしていなかったし、こんなふわふわなベッド(手触りから判断した)も所有していない。となれば、これは夢。  なので、思う存分満喫することにした。俺が見ている夢なんだから、楽しんだってバチは当たるまい。  さて、三日の間に判明したことがいくつかある。  一つ、俺は登場人物たちにとってかなり重要な人物らしいということ。  一つ、言語はパリヌスカ語というらしいが、どこからどう聞いても日本語でしかないこと。
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