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一つ、登場人物たちはかなりの暇人らしいこと。
「たかしー、起きてるー?」
ぱたぱたと、声だけでなく、足音まで可愛らしい人物が駆けてくる。
彼女は毎日欠かさず、俺の元に足を運ぶ。
たかし面白いし、という理由で俺の暇潰しに付き合ってくれる優しい少女だ。三日の間に仕入れた情報によると、お嬢様らしい。
名前はイサベル・フォン・シュレーマーディン。
愛称はベルだ。
俺を唯一まともに呼んでくれる人物である。
「ああ、起きてるよ」
「よかった。じゃあ、お話ししよ。おはなし」
ベルがぴょんとベッドに飛び乗る。彼女はとても軽いので、足の上に乗られても大した苦痛にはならない。
むしろ、可愛らしい女の子が俺の足の上に乗っていると想像すれば、微笑ましくすら思える。
「いいよ。じゃあ、今日も色々訊いていいか?」
「うん、いいよ。たかしはなんにも知らないから、ベルが教えてあげる」
お優しいことだ。
俺は少しだけ考えて、ベルに質問した。
「ここは、どこなんだ?」
「えーっとね、アヌリマ国にある、シュレーマーディン家のお屋敷だよ。
すごいんだよ、シュレーマーディン家は! 三大貴族の一つだし、ベルのおうちだもん!」
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