第一幕

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 一つ、登場人物たちはかなりの暇人らしいこと。 「たかしー、起きてるー?」  ぱたぱたと、声だけでなく、足音まで可愛らしい人物が駆けてくる。  彼女は毎日欠かさず、俺の元に足を運ぶ。  たかし面白いし、という理由で俺の暇潰しに付き合ってくれる優しい少女だ。三日の間に仕入れた情報によると、お嬢様らしい。  名前はイサベル・フォン・シュレーマーディン。  愛称はベルだ。  俺を唯一まともに呼んでくれる人物である。 「ああ、起きてるよ」 「よかった。じゃあ、お話ししよ。おはなし」  ベルがぴょんとベッドに飛び乗る。彼女はとても軽いので、足の上に乗られても大した苦痛にはならない。  むしろ、可愛らしい女の子が俺の足の上に乗っていると想像すれば、微笑ましくすら思える。 「いいよ。じゃあ、今日も色々訊いていいか?」 「うん、いいよ。たかしはなんにも知らないから、ベルが教えてあげる」  お優しいことだ。  俺は少しだけ考えて、ベルに質問した。 「ここは、どこなんだ?」 「えーっとね、アヌリマ国にある、シュレーマーディン家のお屋敷だよ。  すごいんだよ、シュレーマーディン家は! 三大貴族の一つだし、ベルのおうちだもん!」
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