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この辺りは中心部に比べ、田舎に近く、都会化から見放された地域と誰かが言ってたっけ。
辺りを見ながら駆けていると、所々畑や田んぼが見えた。
私たちの住んでいる家がある中心部にはほとんどない風景にどこか心地よさを感じた。
「てかさ、太田の奴何でいきなり転校したんだろ。」
美紀が急ぐ足を緩めながら唐突に質問してきた。
太田直樹。私たちの学年では名の知れた不良で卒業生の暴走族グループにも顔が通ってたらしく、それを利用してカツアゲとかしてたっけ。
確かに何でだろうか。それに・・・
「小島君の様子も変だったね。」
小島圭太。無口で引っ込み思案な子で太田直樹の格好の的になっていた人物。
彼の噂が私たちを動かしたんだけどね。
「あー確かに。何か・・・一言で言うなら狂った・・・よね。」
そう。無口だった彼がいきなり変わったのはちょうど満月の次の日だった。
今までおとなしかった彼はいきなり狂った様に笑ったり、ぼそぼそと『子猫様』と呟いたりするようになったのだ。
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