桜咲く
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『さくらって言います!えっと、宜しくです……』 彼女と出会ったのは、殺風景で、どこまでも真っ白な病室だった。 何もない空っぽな部屋。そんな部屋の窓から彼女は一人、物欲しそうな顔で桜色の世界を見ていた。 春は出会いの季節。そして、桜色は恋の色。 今思えば彼女を見た瞬間から、きっと…… 『僕は真也。よろしく』 桜の花が風に舞い、地に触れるよりもずっと早く――僕は恋に落ちていたのだ。
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