1章

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靴箱まで下らない話をしながら歩いてると、向こうから一人の男子生徒が手を降ってきた。 篠 康介、サチの彼氏だ。 当のサチは気づいてないらしく、カオリとジャレあっていた。 「サッちゃんっ」 わざとらしく声をあげたのはエリだ。 「コウちゃんだよっ」 語尾にハートでもつくような勢いでウインクをするエリに、サチの顔が真っ赤になる。 「て、てめっ!! なんでその呼び方…!!」 「コウちゃん、手降ってるよーん?」 サチがエリに掴みかかろうとしたところで、カオリが口を出した。 サチは一瞬コウちゃんの方に目を向け、カオリの頬っぺたをギュッと摘まむと、ちょっと言ってくると呟き、コウちゃんに走りよった。 「いひゃい…」 カオリがサチにつねられた頬を撫でると、余計なこと言うからだよーとエリがカオリの肩をポンッと叩いた。 「先にちょっかい出したのはエリでしょ。」 私がそう言うと、エリはペロッと舌を出した。
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