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キスの合間に、目を細めてこう言ってくれる。
そっと触れるだけのキスも。
貪るような激しいキスも。
一度触れられたら、もう離れたくなくなる。
「杏、好きだよ」
「あたしも好き」
綺麗な夕暮れを背景に。
撫でるように重なった唇。
もう一度、あたしたちの影が重なった。
離れると、おでこをくっつけて笑い合った。
大好き。
大好きじゃ言い表せないくらい。
海翔くんだけを想ってる。
愛しい、大切な人。
何度も壁にぶつかってようやくここまでたどり着いた。
やっとあたしたちは本当の愛に行きつくことが出来た。
「杏、帰ろうか」
「うん」
そっと差し出された手を握る。
あたしの手全てを包み込んでくれる大きな手。
一度は離してしまったこの手を。
もう離したくない。
ねぇ、海翔くん。
お願いだから。
お願いだから、ずっと捕まえていて。
もう海翔くんと離れたくないの。
だから……
もうこの手を離さないで。
END
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