四、選ばれし世話役

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震える口唇が、収まりかけるとゆっくりと永田様の身体で、私の身体が揺れ動く。 「…ひどい人…結局…貴方様も…このような御方だったとは…」 「…女狩りと…言いたいのか…」 「はい…」 「もはや、おまえが何を言っても…引き下がれぬよ…」 ゆさゆさと揺れながら、呟き掛けるように小さな声で話していた。 「凄い自信ですこと…それでも、引き下がれば…殺すのですか?」 「おまえのような女など…俺には容易く堕とせる自信は有る…殺す殺さぬその前に…おまえはもう…一生俺の側から離れられなくなる…」 永田様は浅い呼吸をしながら、気持ちよさそうに言う。 「さぁ…それはどうでしょう…」 「明日になれば、分かる…んっ…!」 「はぁぁっ!」 明日になれば分かるとは。 分かるとは、何をなのだ。 その言葉には、暗示のような物が掛けられているようで、私は頭の中で繰り返し考えていた。 考えても分からぬと、私は屋敷から去ることせずに、 「では、行ってくる」 「はい…」 この部屋から仕事へと行く永田様を、お見送りする。 「早く戻る。部屋から出ぬように」 「はい…」 永田様のお申し付け通りにずっと、永田様の部屋で締め切りの状態で、あの御方のお帰りを待っていた。
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