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震える口唇が、収まりかけるとゆっくりと永田様の身体で、私の身体が揺れ動く。
「…ひどい人…結局…貴方様も…このような御方だったとは…」
「…女狩りと…言いたいのか…」
「はい…」
「もはや、おまえが何を言っても…引き下がれぬよ…」
ゆさゆさと揺れながら、呟き掛けるように小さな声で話していた。
「凄い自信ですこと…それでも、引き下がれば…殺すのですか?」
「おまえのような女など…俺には容易く堕とせる自信は有る…殺す殺さぬその前に…おまえはもう…一生俺の側から離れられなくなる…」
永田様は浅い呼吸をしながら、気持ちよさそうに言う。
「さぁ…それはどうでしょう…」
「明日になれば、分かる…んっ…!」
「はぁぁっ!」
明日になれば分かるとは。
分かるとは、何をなのだ。
その言葉には、暗示のような物が掛けられているようで、私は頭の中で繰り返し考えていた。
考えても分からぬと、私は屋敷から去ることせずに、
「では、行ってくる」
「はい…」
この部屋から仕事へと行く永田様を、お見送りする。
「早く戻る。部屋から出ぬように」
「はい…」
永田様のお申し付け通りにずっと、永田様の部屋で締め切りの状態で、あの御方のお帰りを待っていた。
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