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そしてその夜は、本当に早くお戻りになり、直ぐ様に部屋に籠っては、身体を拭けと命じられた。
更にそのまま、永田様は疲れを取り去るように、私を抱いた。
甘い吐息を何度も何度も私に吹き掛けながら、私の名を呼ぶ。
「敏乃…」
その行為は、毎晩毎晩と繰り返えされた。
何を、私に求めているのだろう。
グッと獲物を狙うような鋭い目付きで、私を捕らえて離さない。
捕らえた指先は、私の指の間をすり抜けて、グッと奥へと入り込み。
痛みを感じる間もなく、口唇が私をまた捕らえて、舌を絡めて溶かされる。
そのうち揺れ動く視界に、永田様の顔がぼんやりと見えて…。
この御方を好きになる…。
抱かれるたびに、好きになる…。
明日になれば分かると、言われた言葉の意味が分かってきたのだ。
その深い言葉の意味とは、また明日も二人で同じ時間を過ごすのだ。
そういう意味でしょ?
「永田様…っ!」
私が名前を呼ぶと、満足そうな顔をした。
永田様は私から離れない。
そして離れずに私の胸元で、瞳を閉じて荒い息を整えるのだ。
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