154人が本棚に入れています
本棚に追加
私の座る後ろには、永田様がしっかりと座り、前には後藤様、そして空中を警護するように、大きな羽を広げて鷹が飛ぶ。
「ところで永田、女狩りなどと俺は聞いた事もないが、何故おまえは知っておったのだ?」
「右大臣様が言っていた。近頃都に女だらけの店までもがあるとか。貴族の端くれどもが、それで欲求を満たしているらしい」
私の後ろから、永田様は甘く囁くような声で話をする。
「なるほど。それで女狩りをして女を売っては金に変えておるのだな。なんとも酷い話だ」
後藤様は、自分も貴族なのに呆れていた。
「最悪殺しまでも、有るそうだ」
「ムムムッ、許せんな貴族の端くれが」
えっ…殺されてるの?
捕らわれた女たちが?
都という華やかな場所で?
「殺して血を見て喜ぶ遊びが、要するに貴族の女狩りというもの…らしい」
私はそれを聞いて、背中に鳥肌が走った。
「おぞましいのぉ!」
後藤様は私の代わりに、そう大きな声で言ってくれた。
「…よかったなぁ、女よ」
「……」
「おまえのようななりの女など、とっくに殺されているはずだ」
永田様は、冷たく言った。
最初のコメントを投稿しよう!