32人が本棚に入れています
本棚に追加
「君のっ、声がキレイだったから……!
それで…………っ。」
あまりにも、ポロポロ泣いてるから、とりあえず落ち着くまで待ってみた。
落ち着いたところで、彼は話し始めた。
自分は、今日、転校すること。
母親が自分をピアノの道を進ませたいが為に、反対する父親と離婚してしまい、県外に引っ越すこと。
今まで、母親は言うがままにピアノを弾いてきて、自分がピアノを弾く事に意味を見いだせないこと。
「…………俺、このままだとピアノが嫌いになりそうなんだ。」
彼が、ポツリとこぼす。
「………ふうん?勿体無い。」
ただ、そう思ったことを素直に言っただけなんだけど、彼は意味が分からなかったらしい。
怪訝な表情で、俺を見る。
最初のコメントを投稿しよう!