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雪の降る、静かな夜。
いつもの公園に、いつもの私たち。
でも、いつもとは"何か"が違う。
コートに身を包み、マフラーに顔を埋(うず)め、手袋をした手で冷えた頬を覆う。
それでも寒さを誤魔化すことはできず、吐く息は白い。
お互いに何も話さないまま、ゆっくりと時間だけが過ぎてゆく。
これ以上の沈黙に耐えられず口を開こうとしたとき、君が先に言葉を発した。
「もう、幼なじみやめようよ」
どういう意味?
そう聞こうと思った。
でも……、
うつむき気味だった顔を上げると――
何も言えなくなってしまった。
冷たい空気の中で私だけを見つめる君の瞳が、今までに見たことがないくらい真剣なものだったから……
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