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母の帰りが遅くなることはたまにあった。 父は仕事が忙しく夜遅くに帰ってくるので 休みの日には一日中寝ていたし、幼い頃は一緒に過ごした記憶はほとんどない。 そんな父の目を盗んで母は私と二歳上の姉を連れて よく外食をしたりしていた。 大概は母の古くからの友人である、たかくんのお母さんと。 たかくんは私と同い年だった。 お母さんに似て狐のような瞳は鋭い。 だけどたかくんは優しくて、ちょっと恥ずかしがり屋で 姉が幼稚園に預けられているときは 私はよくたかくんとセットにされて遊んでいた。ふたりで。 たかくんのお母さんははっきり物事を言う。 幼い私達にも包み隠さず。
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