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「またひっかいたの?相変わらず激しい喧嘩してるね。いつまでこのままにするの?」 呆れたように、だけどそれでいて楽しそうに話す母。 母はわたしの髪の毛を触りながら おばちゃんと話していた。 たかくんはお気に入りのパトカーのおもちゃを前後に動かしていた。 あたりはすっかり暗くなっていた。 夜のしんと静まり返った住宅街が私は嫌いだった。 当時は街灯もまばらであの独特の黄緑のような光。その街灯の下には虫がたかっていた。 自分の足音しか聞こえないような、暗闇にいる気分。 昼間に戻りたくなる。 ぼんやり考えていたわたし。 たかくん、何で何も話さないんだろう。
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