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「それより、ひさ。大丈夫なわけ?こんな時間まで」 おばちゃんは笑いながら母に聞いたが、別段心配しているようには思えなかった。 「いいよ、別に。」 そうは言っていた母だったが、 その帰り道、口数はほとんどなく、私と姉は言い知れぬ不安を感じた。 家に着くと、台所にある食卓テーブルに父が険しい顔をして座っていた。 台所にだけ電気がついていて、 他の部屋は明かりがついていない。 それだけで、いつもと違う夜で、 それに加えて険しい顔をした父がいる。 胸のなかにざわざわとしたものが広がる。不安だ。こわい。 落ち着かない。 そんな私と姉を母は寝室へ入れると台所へ行った。
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