-a story with a little toy-

2/19
前へ
/19ページ
次へ
私は、『人形』だった 人は成長するもの。 友達や親友、幼馴染み、恋人。 そんな関係を築きながら成長するもの。 ただ、私は『人形』でしかなかった。 感情の起伏に乏しかったから、関わりなんてものはなかったのだ。 子ども特有の、グループ意識やその間の格差、妬み、空気。 それらが私から、易々とすべてを奪った。 そして、どこかのヒーローとは正反対に、 孤独と空虚な心だけが残っている。 それに、現実にはドラマみたいに、私を拾おうとした人なんていないわけで。 両親も私を見限り、互いに不倫を認めて離婚、ついで叔母のもとに私を押し付けた。 そう、彼らが言い残した言葉は、 『貴女が生まれなければよかった』 であった。 これらが、私にある『思い出』たち。 吐き気を催した私は、小さく、私自身に言い聞かせるように、決心させるように、呟いた。 ー人形に、感情は、いらない そうして、沼という奈落の底へと堕ちるために、私は部品を進めた。 -ただ、生きていた理由は、知りたかった
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加