386人が本棚に入れています
本棚に追加
それはふわっと優しく薫る。
………この匂い…
「良い匂い…これ…」
気になって周りをキョロキョロとついつい見渡してしまう。
…………それにしても…もう何回も来てるのに、この部屋はいろんなものが置かれていて、何だか見ていて楽しいんだよな
飽きが来ない部屋ってすごく羨ましかったり(笑)
俺なんか、実家暮らしから一人暮らしになったはいいけど、大事な片付けがこれっぽっちも出来てやしねぇし。
ごみ屋敷、まではいかないけどな…;
それでもその散らかった景色が当たり前として目にこびりついてしまっているから…
こういう綺麗にモノ置いてる部屋って…いいなって。
ーーー…いつの間にか俺は部屋の観察にいそしんでしまっていた。
まじまじ見渡す俺に、啓介は何やら大きな何かを手に持って近づく。
何だ?なんて不思議になって見てみれば
「っ!?うおおっ!?オムライス!!しかも卵とろっとろっ!プロみてぇ!」
「時間遅いけどな;まだ夕ごはん食べてなかったから。ってか!これでも調理師なんだけど…;」
「そうでしたw」
「っざけんな…;ばか」
「んな?俺も食べて良い?」
「ん。どーぞっじゃ、スプーンもうひとつ持ってくるな。」
「了解っ!」
ニコッと変わらない笑顔を浮かべて、啓介はスプーンを取りに行く。
その間に俺は椅子に腰かけて、テーブルに置かれたオムライスをじっと瞳で捕らえていた。
あっという間に戻ってきた啓介もまた、椅子に腰かけた。
ーーー…目の前には啓介。
言葉なんか交わしてないけどお互いに目で合図。
手をパチンとあわせてーーー…
「「いっただっきまーすっっっ!!」」
<<パクッ>>
最初のコメントを投稿しよう!