野乃崎 春海の場合。

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春のような温かさと海のような広い心を持った優しい子供に育って欲しい、 なんて、後付けの理由なんて子供のアタシでも考えつくのに。 思春期真っ只中の当時のアタシは、望まれず生まれてきたんじゃないかって本気で悩んでベッドに潜って泣いたっけ。 世間には、世の親が愛する我が子につけた工夫を凝らした名前で溢れている。 華恋(カレン)とか結愛(ユア)とか、名前の字面や響きだけですでに女子力が高くって、それだけで人生の武器になりそうな名前とかね。 正直なところ、そういう名前は実に羨ましい。 もし、自分がそういう名前ならその名前のとおり、きらびやかな人生を送れる気がするから。
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