5人が本棚に入れています
本棚に追加
ほどなくなりゆきで一緒に暮らし始めた彼、坂下くんは24歳。私より2つ年下だった。若白髪とかのせいで老けて見えるのに。
坂下くんの下の名前は登。名字と相まって何だか不思議だ。
だってそうでしょう?「坂の下登る」だなんて。
そんな不思議な名前の坂下くん、彼の仕事は、パワーストーンとかアジア雑貨とかインディアンの御守りとかを売ってるお店の店員。仕事柄、東南アジアとかインドの神様に妙に詳しかったり。
けど、あくまでそれは、業務上必要だから覚えてるだけの知識。神様にもアジア雑貨にも、坂下くんはあんまり興味ないみたい。「知りたがり」の好奇心や知識欲はそっちにはなぜか働かないみたい。
なのに彼がそのお店にいるのは、おじいちゃんの勧めでなんだとか。
坂下くんのおじいちゃんは、彼曰く「仙人みたいで不思議な人」なんだそうだ。ほんのちょっとだけど、予知とかできるらしい。そのおじいちゃんが言ったんだとか。
「お前はあの店で勤めなさい、そうすれば良い結果が訪れる」
って。彼はおじいちゃんのこと好きだったから、ホントかなあと思いながらも、その店の就職試験を受けに行ったんだって。そして受かって、今に至る、と。
彼に、人の体を借りる秘術を教えたのも、そのおじいちゃんらしい。
変なおじいちゃん。孫にそんな術教えるなんて、一体どういうつもりだったのかしら?
まあ、良いんだけどね。そのおかげで私は、坂下くんと出会えたわけだし?
あれっ? ってことはおじいちゃんが間接的なキューピッド?
うーん、微妙。
最初のコメントを投稿しよう!