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ある日、照れた可愛い瞳が見たくなって、私は彼に意地悪をした。
彼のコレクションの中から、特に綺麗な一つを取って、
「坂下くん、私の目とこの石、どっちの方が綺麗?」
きっと迷ってまごまごしたり、また真っ赤になったりするんだろう。そう思ってた。
けど坂下くんの反応は全然違ってた。彼はまっすぐな目で、さらりとこう答えたのだ。
「容子さんの目に決まっています」
これには、逆に私が照れてしまった。
「え、あ、そ、そう……うん、それは良かった、そうね……」
「容子さんの目は綺麗です。美しい。ここにあるどの石よりも。水晶よりも透き通って、しかしその輝きの深さは……」
私は慌てて彼の口を塞ぎ、大声で叫ばねばならなかった。
「さささ坂下くんっ!! 私、今夜大根サラダとお豆腐ハンバーグ食べたいなっ!!坂下くんの得意料理!!」
石の次に料理が好きな坂下くんは、
「容子さんはワガママですね」
と、口で言いながら、にっこりと嬉しげに微笑んで、材料を買いに行く、と出ていった。
私は彼がドアを閉めると同時に床に崩れ落ちて転がり、まだ熱い顔を両手で押さえた。そのまましばらく動けずにいた。
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