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「僕は、貴女の体をお借りすることができません。なので関係を、解消したいんです……」
掠れた声だった。最後の方は消え入りそうだった。
その声の調子と言い方が、私の中にある何かに触れて冷たい火花が散った。
私のどこからそんな声が。自分でそう驚くほど冷たい声で、私は言った。
「わかってます、そんなことは。聞きたくありません」
「……嫌いになったわけじゃないんです……」
「ああ、そうですか。それで?」
散った火花が燃え上がる。私の意思と関係なく。
こんなこと言いたいわけじゃない。こんなことしたいわけじゃない。なのに……。
泣きたかった。でも泣けなかった。代わりに彼に冷たい炎の切っ先を向けた。そうすることしかできなかった。
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