夏の暁

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朝起きて、支度をして、階下に降りる。 「おはよう、澪(みお)」 「ああ、おはよう、瀬南(せな)」 先に降りていた澪に挨拶をして、アイスコーヒーを二杯淹れた。 「あれ、母さん仕事?」 「そうみたいだよ」 カラリと汗をかいたコップの中で氷が崩れた。ぽたぽたと水滴が滴り落ちるのを見て、澪が目を細める。 「座って飲みなさい。水、垂れてるよ」 「分かってるよ。うるさいなぁ」 少し不器用な澪が焼いたベーコンエッグはこんがりと焦げていて、トーストは少し冷めていた。 毎朝毎朝、こうやって俺のためにご飯を作ってくれるのはありがたいんだけど、正直料理はあんまり上手くない(むしろ下手だ)から、悪態の一つもつきたくなる。 この間なんかよくわからない煙を放つ暗黒物質が出てきたから、今日は大分ましだろう。 ・・・素直になれない俺を許して欲しい。 「澪が作るとまずいんだよ。今度から俺が・・・、」 「瀬南が作ったら味が濃くなる。文句言うなら食べるな」 「ごめん、食べる」 あーあ、また怒らせてしまった。 もう少し素直になれないものかな、俺。 まあ、澪の方が遥かにツンデレだから俺はまだぬるい方なんだろうけど。
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