夏の暁

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俺は黙ってベーコンを口の中に突っ込んだ。うん、この前よりはまだ食べられる。 そわそわと前の席に座る澪がこちらを気にしてくる。 俺は知ってる。 ご飯を作った後、彼女は毎回こう聞くのだ。 「おいしい?」 「この前よりはマシ」 「そう」 素っ気ない風に見えても、コーヒーを飲むことで隠した口元がきっと緩んでいる事を俺は知ってる。ほら、目元が少し赤い。 澪のそんなところも、かわいいんだけど。 俺は素直になれないから。 「何照れてるの?もっとまともに作れるようになってから照れてよね」 「うううるさい!照れてない!」 顔を赤くした澪が、だんっと机を叩く。ほら、やっぱり照れてるじゃないか。 正直口の中苦いし、ちょっと涙目なんだけど、あ、殻入ってる。 それでも澪が俺のために頑張ってくれているから。 俺は澪が作った料理なら死んだって食べ切るし。 「ごちそうさま」 「もっと落ち着いて食べなよ・・・」 「うるさいなぁ。一々小言ばっかりだと老けるよ?」 食器を流しに置く。水じゃなくてお湯を張れ!と後ろから怒号が飛んでくるけど気にしない。俺は思い切り水を張った。
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