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「…いただきます」
「どうぞ」
父さんと母さんにメールを入れてから俺達はラーメン屋に寄った。そこで豚骨ラーメンの大盛を頼んで、やっとそれが目の前に運ばれてきた。
熱々の湯気が泣き腫らした目にしみて痛い。
「目、痛いんでしょ。泣いた後熱いもの食べると湯気しみるもんな」
正面に座った澪が見透かしたようににやりと笑う。なんだよ、いつもは泣き虫な癖に。
「それはいつも泣いている君の経験談かい?それなら食べる前に言って欲しかったね」
「泣いてない!」
「この前映画観ながら泣いてたじゃん」
「ほっとけ!」
ぶりぶりと怒りながら自分のラーメン(チャーシュー並盛)をすすり始めた澪がなんとなく安心したように笑ったのはきっと俺の見間違いだろう。
「ったく、いつまでも泣いてんな!」
「……もう泣いてないよ…」
なんか外が騒がしいと思ったらがらりと扉が開いて一組の男女が入ってきた、っぽい。顔はよく見えない。「いらっしゃいませー!何名様でしょうかー?」とテンプレートなセリフを投げかけた店員に女の方が「二人!」と答える。
「瀬南!前向いて食べなさい!」
「はいはい」
「瀬南!?」
澪の怒号になんとなく返事を返せば、また女の方が反応した。
「すみません!あそこと相席でいいです!」
「ちょ、由香里…、」
なんだどこと相席になるんだとか思っていたらぽん、と肩を叩かれた。
「よ!」
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