2人が本棚に入れています
本棚に追加
「私はいいけど」
「よっしゃ!瀬南と正紀はどうする?」
バッと由香里がきらきらしながらこっちを向いた。いや、なんと言うかその、
「ごめん聞いてなかった」
「はぁ!?仕方ねぇ奴だな。夏祭り一緒に行こうぜって言ってたの!」
「由香里、言葉使い」
「あ、悪い」
てへぺろ、と由香里が舌を出す。俺が澪が行くんなら行く、と答えた。すると正紀は少し考えるような顔をしてから目線を上げた。
「今週末って、明後日?」
「うん」
「そうか…いいよ」
「なんか予定あった?」
「いや、来週だった」
「ふぅん」
「じゃあ決まりだな!詳細は後でメールするぜ!」
由香里がそう言ったと同時にラーメンが運ばれてきた。皆が自分のラーメンをすすり始めたから、俺も少し伸びた自分のラーメンをすすった。
「ねぇ瀬南」
「なに?」
女子がなんか浴衣やらなんやらの話で盛り上がってきた頃、正紀がいつもの読めない笑顔で話しかけてきた。正直なんとなく無理してる風な気もしたけどそれはお互い様だと思う。
「帰ってから、電話していいかな」
「いいけど、なんで?」
「色々瀬南には話したいことがあるんだよ」
例えば、そう言って正紀は笑みを深くした。
「瀬南の好きな人について、とか」
最初のコメントを投稿しよう!