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「まぁまぁ。もう良いだろ」
「由香里…!」
「そろそろ勘弁してあげなよ、謝ってるんだからさ」
由香里(紺に金魚柄の浴衣。帯は黄色)と正紀(縦縞、深緑の甚平)がぷんぷん怒る澪と俺の間に入ってくれた。救世主…!
「一人五百円ずつおごりで手を打ってやる」
「良かったね瀬南。安くすんで。僕だったら千円取るよ」
「君達を救世主だと思った俺が馬鹿だった」
なんだその法外な値段は。千五百円吹っ飛ぶのはかなり痛い。財布に大打撃だ鬼畜カップルめ。
「なに?私達に反抗するわけ?」
「滅相もございません」
澪の視線がぐさぐさと突き刺さる。痛い痛い。
「誰かさんのせいで時間無いからそろそろ行こうか。じゃあ瀬南、まずたこ焼きね」
「ちくしょー…」
正紀が良い笑顔でたこ焼きの屋台を指差す。ああ、無駄に食べるから五百円でもありがたいわけね。しかもちゃっかり由香里と恋人繋ぎしちゃってこの野郎。
澪は澪で無言だし。
「澪、」
「なに?」
うわあ怒ってるめっちゃ怒ってる。
「ご、ごめん」
「もういいよ」
…これはどっちの意味なんだろうか。
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