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ナツキは身体を振って前へと出る。
それに呼応するようにアキトの足は一歩後ろへと下がった。
「やっぱりか」
そうつぶやいても身体をの振りは止まる事はなく。
「その槍の利点は長い事でも、自在に長さが変わることでも、壊れないことでも無い。」
更に一歩。二人の距離は変わることはなく。しかしアキト側にずれて行く。
「その変化のスピードにあるんだろう?」
言った瞬間だった。ナツキは一気に加速し、体を低く、左右に振りながら距離を詰める。
「チッ」
対するアキトは舌打ちをしながらも槍の伸縮能力を利用し、石突による打突を敢行。ナツキを迎撃しようと試みる。
それでも上体を振るナツキの身体を穿つ事はなく。
肉迫。
二人の距離はナツキの拳が届く距離まで縮まる。
斜め下から、抉るようなボディブローに対し、アキトはバトンのように短くした槍を回すことで対応する。
「ナツキっ!!」
トウコ叫びがこだまし、地に膝をついたのはアキトだった。
「何でだ……?」
問いはアキトのものでそれに答えるように与える為の右手「祝福の右手」が黄金色に輝きアキトの腹部を穿ったままの形で止まっている。
「アキ兄は昔言ったよな。正義の反対はもう一つの正義だって。
みんな正しいことをしようとして意見がぶつかっちゃうこともあるんだって。
あの頃の俺には分からなかったけど今ならわかるよ。
だから手を貸させて。事情を話して。アキ兄の言う事ならきっと俺は支持するよ」
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