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アキトさんが軽く、本当に軽く。マツリさんの背を押します。
不思議な事がおきました。
マツリさんが軽く紫色に光を帯び、足元に幻の花が咲く。
加速。
初速は一歩で最高速へと達し、僕は目で追う事が出来なかった。
彼女の軌跡を残すように地面だけでなく空にも花が咲き、次にマツリさんの姿を捉えた時には花はオロチの懐まで咲き及んでおり、次の瞬間にはオロチは5本の首筋のうち2本から鮮血を撒き散らしていた。
一瞬でオロチの首周りには無数の花が咲いて行き、切り返しでスピードが0になる瞬間だけ見せる彼女の姿は5人は超えている。
ある程度遠目から見ている状況でも彼女の移動は捉える事が出来ず、首筋にいるオロチから見ればより姿を捉えるのは難しい事だろう。
我慢の限界を迎えたのか血の花を咲かせる2つの首のうち一つがもう一つの首元に熱線を吐く。
吐き出された熱線はうまくマツリさんに誘導されもう一つの首へ。
うめき声を上げ倒れる首を余所に、熱線を吐いた首には花が咲き乱れ、動きを止める。
「まだ3つ残ってるけど?」
近くに着地したマツリさんにかける声はとても軽いものでした。
「アキト様の分残しておかないと怒るでしょう?」
「たしかになー」
というやり取りはまるで晩御飯のおかずの譲り合いのような気軽さがありました。
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