使命

2/2
前へ
/75ページ
次へ
??「隼人よ…」 声の低い品のある老人はある青年を『隼人』と呼んだ。 隼人「はい。御呼びで御座いましょうか?じじ様」 隼人と呼ばれた青年はその老人を『じじ様』と呼んだ。 老人「呼ばれた理由はわかるか?」 隼人「いえ…」 隼人は顔を上げずに答えた。 老人「あの娘が…あの娘たちが年齢に達した。おそろくそろそろ自覚をする頃だろう。何分(なにぶん)あの島は只でさえ訳ありの島だ」 隼人「………」 老人「由姫が行った島…初音島」 隼人「…!」 隼人は『由姫』と云う言葉にわずかに反応した。 老人「あの娘の娘たちを…護ってやってくれ」 隼人「俺の力が役に立つのなら…」 老人「お前は守護家の人間…この『葛木』に仕える守護家の人間だ」 隼人「………」 葛木の老人「お前は守護者の…いや、鬼の血を引く一族。守護者の中でも最も力を持つ」 隼人「……はい」 葛木の老人「今がその時だ。役目を果たす時が来た…助けられた恩を果たすのだ、いいな?」 隼人「わかりました…由姫様のご息女……この俺が護ってみせます…鬼の守護者の名に懸けて」 隼人は顔を上げながら言った。 葛木の老人「では、行け…桜が咲き誇る初音島へ」 隼人「はい」 そして、青年は長年暮らしていた里を旅立った…
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加