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隼人「あれは…カミだ」
音姫「かみ?かみって?」
隼人「あ~お前たちには神様って言った方がわかるか」
音姫「神様?あれが?」
私はあのおばけのような生き物を思い出す。
あの生き物は怖さと哀しみと寂しさを感じた。
音姫「でも…神様って言うよりは……おばけだよ」
隼人「…おばけや妖怪に見えてもアレは神なんだ」
音姫「どういうこと?」
私はいまいちわからず聞き返す。
隼人「………」
隼人くんは苛立ったように頭をかき口を開く。
隼人「…俺は講釈は苦手なんだよ……」
音姫「………」
その言葉に音姫はシュンとする。
隼人「神と妖怪は表裏一体なんだ。奉られてた神は、奉られなくなると人を彼方の世界に拐う」
音姫「………」
隼人「俗に言う『神隠し』ってヤツだ」
音姫「神隠し…」
隼人「中には人を殺す神もいる。それはもう神ではなく『ケガレ神』となる。先程のカミは奉られることが無くなり、その寂しさで人を拐う『オボロガミ』だ」
音姫「オボロガミ…」
隼人「まさかもう拐われそうになるとは思わなかったけどな…」
音姫「ごめんなさい…」
隼人「いや、お前が謝ることじゃない。俺が来たせいだろうからな」
音姫「どういう…こと?」
隼人「………」
隼人くんは口を閉ざす。
隼人「帰ったら話そう」
音姫「う、うん」
それから私たちはお家に帰った…
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