エイゾウ

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エイゾウ

黙々と歩いていくと、廊下は白から急に黒に色を変えた。 まるで朝から夜に変わったようである。 しかし道は一本。 どれだけ不気味だと思おうが、私達はこの道を進むしか無いのである。 私達はお互い覚悟を決めて、黒の廊下に足を踏み入れた。 するとどうゆう事だろうか。 不思議な事に黒色の廊下にいくつものテレビ画面のようなものが現われ、それぞれに映像が映し出され、流れ始めたのだ。 私達は不審に思いながらも、それぞれ気になる画面へと近寄った。 私が目に留めたのは、小さな女の子が父親と思われる男性とキャッチボールをしているところだった。 いたって普通のホームビデオ。 しかしそこに写る人物が問題だった。 『お父さんと・・・小さい私?』 確かにその映像の中で走り回るのは、幼い頃の私の姿。 まさかと思い隣の映像を見ると、目の前の映像より少し成長した私の姿がそこに映し出されていた。 反対方向に向かっていったしぐれの方向を向けば、しぐれも私と同じように丁度振り返ったところだった。 しぐれの方に映る映像は私の知らないものだった。 小さな二人の男の子が新聞で作られた剣を振り回して遊んでいるところだ。 たぶん、しぐれの反応からあちら側に移っているのはしぐれとしぐれの知り合いなのだろう。 私達はただ、その映像を暫く見つめ先へと足を進めた。 多分この奥に何かがある。 そう小さな恐怖を見ない振りして、私達は先へと進んだ。
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