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奥州の外れの山間
馬を走らせ1人散歩に来ていた政宗は、そこに意外な人物がいるのを見つけた。
全てが黒尽くし
真夏の照りつける太陽も気にせず、ただ平地を眺めている。
その顔には見覚えがあった
空よりも、海よりも鮮やかな蒼をなびかせ馬から降りると、平地を見つめる男の背後から声をかける。
『随分と暑そうな恰好してるじゃねぇか?オッサン』
突然浴びせられる不躾な声にも顔色一つ変えることなく振り返る
『最近の若僧は礼儀を知らぬか』
『ha~n? 竜にゃ人間の礼儀がね~んだよ』
『ほォ~』
光に乱反射する蒼き姿を信長は思わず見入った
眼帯をした輝く片目に、細身ながらも力溢れる体つき
無邪気な顔には明るさが零れ落ちていた。
魔王と恐れられている自分を見ても怯まず、何か楽しい遊びでも見つけた目に笑いが込み上げる
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