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『随分とお喋りな竜だ』
『ha!そりゃあ~悪かったなっ・・とっ・・・』
『勝負あったな』
『やれ、やれ』
何とか隙を作ろうと、信長の気を逸らすことに夢中になりすぎた政宗は押しの一手で間抜けにも尻餅をついてしまった。
辺りは既に陰りを見せ、太陽は赤く西の空に色づく
政宗の喉元に突き付けられた刃にはまるで血が滴るように紅い光が滲んでいた
溜め息一つ信長に尋ねる
『殺るかい?』
負けて尚、自信を失うことのない政宗を暫くのあいだ刃を突き付けながら見下ろしていた信長だったが、フッと笑って剣を収めた。
『今殺るには惜しい。我に敗北したことを忘れるでないぞ』
黒いマントを翻して笑い声と共に空に消えて行く信長
『嫌味なのも魔王の特権かよ・・』
1人空を見上げ呟く政宗の体を夜の闇が包んでいった。
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