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与野は、所謂マイカー通勤。
駅への道の途中にある駐車場まで。
電車で帰宅する華凛は、与野と並んで歩いていた。
「…なんか、さ。…いろいろ…だね……。」
地面を見ながら歩く華凛が漏らす。
「……あぁ、そうだな。」
何が、どう、色々なのか。
特に説明しない華凛だったが、与野は返事をした。
答えを欲しがる気持ちで吐いた言葉ではなかった。
珍しく会話をしたい気分だっただけ。
だから、返事を貰えただけでよかった。
「じゃ…お疲れ……。」
「お疲れさん。また今日、な。」
駐車場に着き、与野と華凛は挨拶をして別れた。
華凛は一人、駅までまた歩き出す。
朝日が眩しい。
地面を見て歩いているのに。
別に、太陽は苦手じゃない。
むしろ天気がいいのは好きだ。
しかし、自分がしっかりと照らし出されてしまう。
汚い、と感じる自分が。
太陽に照らされ、そんな自分を晒け出される気になるのだ。
好きな太陽。
なのに逃げるように日陰に退散して、駅へと足早に向かった。
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