Crime ‐ 犯行 ‐

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 キリエが石段に叩き付けられたのと一緒にヨシュアはその上に馬乗りになった。  咳を繰り返したキリエの目には涙が溜まっており、苦痛に顔も歪んでいた。  女子どもでも平気で殺せるヨシュアにとっては、たかが少女一人のそんな顔にも動揺などしない。  今は早く、この少女からクレドの記憶を覗くことが先だ。 「ヨシュ、ア。ど、して……っ」  キリエは今日友達になったつもりでいた相手に、何故こんな乱暴をされるのかが理解できず、それでいてそのことがショックだった。  初めての同年代らしい少年の友達は、キリエにとってはこれからの楽しみや嬉しさになっていくはずだったのだ。  しかしヨシュアにとっては違う。  キリエはただの利用道具であり、それ以上でも以下でもない。  単純すぎる道具に過ぎないのだ。  ヨシュアはキリエの首に片手をかける。  折れそうな程細いそれに、体重と圧をかけた。  ひゅっと息を飲んだキリエは、一瞬にして正常な呼吸ができなくなった。 「あ……ッぁ」  キリエは詰まった呻き声を挙げ、自分の視界がグルリと回る感覚に陥る。 「……ショック療法っつーの? 痛みを与えれば、お前の記憶を引きずり出せんじゃねーかと思ってよォ」  ヨシュアは口角を吊り上げて、「つーか療法じゃねェかコレ」と一人で笑った。  キリエは首を絞める大きな手を掴んで引き離そうとしたり、足をバタバタとさせたりするが、どれも意味はない。  ヨシュアにとっては赤子が暴れているようなものだ。 「ゃ……あッ、」 「チッ。まだ見えねェ」  首を絞めてもキリエの記憶はチラリとも見えず、まるで固い南京錠をかけられているようだ。  結構な力を入れて絞めているのにも関わらず、ヨシュアは次はもう片方の手でも上から押さえつけた。  大きな瞳から、苦しさからの生理的な涙が流れ出る。  瞳孔も開いており、キリエの頭の中は真っ白で、もう意識も飛びそうだった。
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