19人が本棚に入れています
本棚に追加
「いつ、つ……?」
ただ驚いているクレドに、キリエは何とも居心地悪そうに頷く。
やはり彼も自分を気味が悪いと思ったのだろうか、そう不安になったキリエは怖くて顔を上げられない。
パンドラの中にも種類がある。
生まれながらのパンドラと、二人のような途中発見。
何の役にも立たないパンドラに、殺傷能力しかないパンドラ、人を助けるパンドラ。
力の強弱も、コントロールが上手いパンドラも下手くそなパンドラも。
そして一つしかパンドラを持っていない人間と、二つのパンドラを持つ人間。
クレドはパンドラを種類で分けるなら上記だけだと思っていた。
勝手に5つもパンドラを有する人間なんていないと断定していたのだ。
狭い世界で暮らしてきたクレドは周りが思うよりも、ずっと世間知らずであった。
故に複数個のパンドラを所有していた太古の偉人がいたことも、知らなかったのだ。
「……かくしててごめんなさい……。でもわたし、クレドにこわがられたくなくて」
そこでクレドはハッとなり、慌ててキリエの頭を撫でた。
何もキリエを怖がったわけではない。
ただ告げられた事実に驚いてしまっただけだ。
「大丈夫。俺はキリエを怖がってないよ。……キリエがどんな人間であっても、俺の気持ちは何ひとつも変わらないから」
キリエは少しだけ顔をあげて、チラリとクレドを見上げる。
「ほんと……?」
「うん、本当だ」
それを聞いたキリエは潤ませた瞳をぐっと細め、それからようやくふにゃりと微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!