第二章 Whisper ‐ 内緒話 ‐

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「いつ、つ……?」  ただ驚いているクレドに、キリエは何とも居心地悪そうに頷く。  やはり彼も自分を気味が悪いと思ったのだろうか、そう不安になったキリエは怖くて顔を上げられない。  パンドラの中にも種類がある。  生まれながらのパンドラと、二人のような途中発見。  何の役にも立たないパンドラに、殺傷能力しかないパンドラ、人を助けるパンドラ。  力の強弱も、コントロールが上手いパンドラも下手くそなパンドラも。  そして一つしかパンドラを持っていない人間と、二つのパンドラを持つ人間。  クレドはパンドラを種類で分けるなら上記だけだと思っていた。  勝手に5つもパンドラを有する人間なんていないと断定していたのだ。  狭い世界で暮らしてきたクレドは周りが思うよりも、ずっと世間知らずであった。  故に複数個のパンドラを所有していた太古の偉人がいたことも、知らなかったのだ。 「……かくしててごめんなさい……。でもわたし、クレドにこわがられたくなくて」  そこでクレドはハッとなり、慌ててキリエの頭を撫でた。  何もキリエを怖がったわけではない。  ただ告げられた事実に驚いてしまっただけだ。 「大丈夫。俺はキリエを怖がってないよ。……キリエがどんな人間であっても、俺の気持ちは何ひとつも変わらないから」  キリエは少しだけ顔をあげて、チラリとクレドを見上げる。 「ほんと……?」 「うん、本当だ」  それを聞いたキリエは潤ませた瞳をぐっと細め、それからようやくふにゃりと微笑んだ。
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