19人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
――もうすっかり慣れた雑踏に、クレドは擦れ違う人をかわしながら道を歩く。
風に靡[ナビ]く白銀の髪の毛に、ポケットに手を突っ込んで歩く姿はすっかり大人に成長していた。
キリエとクレドが離れ離れになってからもう12年が経ち、彼は今度の誕生日で19歳となる。
「クレド~! こっちよ、こっち」
「悪い。待たせた」
「大丈夫。アタシも今ちょうど着いた所」
胸元が広く開いた丈の短いトップスに、短いダメージ加工のスカートを履いた女が馴れ馴れしくクレドの腕に、自分の腕を絡ませる。
二人はそのまままた歩き出した。
道行く人は大抵が刺青を彫った人相の悪い輩か、今にも死にそうな痩せ細った人間ばかりだ。
土で出来た道の両端にはいろんな屋台が出ていて、胡散臭そうな主が威勢のいい声を張り上げて宣伝している。
その景色はまるで荒れ地に無理矢理店を置いただけの、酷くみすぼらしいものだ。
「最近働き詰めねえー。体大丈夫?」
「ああ……別に何ともない」
「病気とか持ってないでしょうね~」
「ちゃんと月2で検査してるよ」
女は整った横顔を見ながら、ニコリと微笑む。
「そう。なら良いわ」
女は更にクレド腕に密着すると、豊満な胸を押し付けて機嫌良さそうに鼻歌を歌い始めた。
最初のコメントを投稿しよう!