Recovery - 治癒 -

5/18
前へ
/155ページ
次へ
「……もう寝る」  ヨシュアは木製のテーブルに手をついて自身を支えながら立ち上がる。 「若! 大丈夫っスか。そのケガどうするんスか」  比較的若い、差ほどヨシュアと歳の変わらない団員が心底心配そうな顔で言う。 「知るかよ……つーか、骨、イテェんだから、喋らすなボケ」  息を吸うことすらままならないというのに、いちいち怪我の治療だの相手への報復だの、喋る気力はない。  ヨシュアは小さく謝る団員を無視して、一人でふらふらと二階へと上がっていった。  あんなに頼りなさそうな若頭の背を見るのは、初めての者が多かった。  心配そうな団員達からわかるように、ヨシュアは皆から信頼されている。  ヨシュアのたてた作戦では失敗はまずない。  そしてヨシュアのいるところでは、常に死への恐怖が存在しない。  彼が自分たち団員を護ってくれるという自信があるからだ。  どんなに危険な目に遭っても彼といれば救ってくれる――。  そんな絶対的な強さが、彼にはあった。  故にヨシュアは、団員達から敬われ畏れられている。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加